他院で“ふらつき症候群”と診断されたハリネズミが来院しました🦔
- 2019年1月生まれ 初診時3歳
- ヨツユビハリネズミ Atelerix albiventris
- ♂
- 腎盂結石による血尿の既往有り
初診の約1か月前左後肢の力が弱まりみるみるうちに四肢が動かなくなり歩行不能になり他院で“ふらつき症候群”と診断され余命1カ月と宣告を受けました。鍼治療とレーザー治療を希望して当院を受診されました。
ハリネズミふらつき症候群”Wobbly Hedgehog Syndrome : WHS”
ふらつき症候群(以下: WHS)とは、進行性の神経疾患です。初期症状は、丸まれなくなるという軽度の運動失調から始まり、後肢に力が入らずふらつくような様子がみられ、ほとんどのハリネズミは臨床症状が現れてから約15カ月までに完全な麻痺へと進行します。多くが、発症してから1年半〜2年程で死亡するといわれています。
参考:Wobbly Hedgehog Syndrome in African Pygmy Hedgehogs (Atelerix spp.)
当院での治療と経過
《鍼治療》
主に上記の経穴を置鍼ではなく刺鍼で刺激しました。
《漢方薬》
などのイスクラ産業の漢方サプリメントを症状に合わせて処方しました。
《レーザー治療》
高出力レベル半導体レーザー治療器を使用します。治療目的に合った波長・出力設定・照射時間を組み合わせたプロトコルで効果的な治療を短時間かつ安定して行うことができます。レーザー治療は、創傷治癒・炎症抑制・疼痛緩和の効果が期待できます。本症例では、抗炎症と代謝促進を目的としました。
《オゾン注腸》
オゾン治療の詳しい内容については、当院HPの診療内容を参照してください。本症例においては、オゾンを注腸することで、細胞の代謝の活性化と抗炎症作用の効果を期待して行いました。
《ホモトキシコロジー》
その時の症状に合わせてホモトキシコロジーのレメディを組み合わせ、注射で投与しました。解毒、細胞の活性化、免疫の調整を目的としています。
上記の治療法を組み合わせ治療を行い、経過は以下の通りです。
- 初診時
発症から約3週間
体重:318g 後肢は殆ど動かせず、丸くなれない
刺鍼(漢方オイル) オゾン注腸 を実施
- 第7病日
体重:321g 治療の効果??元気・食欲がいつもよりあった
右前肢を噛んで腫脹したので包帯処置
刺鍼 オゾン注腸 ホモトキシコロジーの注射 レーザー治療 漢方薬を処方
- 第30病日
体重:343g 前肢は少し動かせる
自力で帽子に潜り込む
この頃から触ると丸くなり、鍼治療が困難に
レーザー治療:背中全体と腹部を伸びたときに行う
治療を継続しているうち、活動性が上がり、不自由ながらも自力での移動が可能になっていきました。治療中も丸くなる事が出来るようになり、レーザーやオゾン注腸をする際に、丸くなって防御姿勢を取り、なかなか伸びてくれずに施術者の手に背中の針がチクチクと刺さるくらい、力が入っていきました。
飼い主さんの献身的なお世話のたまもので、餌や水の摂取もかなりできており、元気に過ごしているようでした。
- 第473病日
体重:430g
胃腸障害、呼吸不全により亡くなる
他院で余命1カ月と宣告されてから約1年3カ月当院に通院してくれました。
病気を治癒させることはできませんでしたが、麻痺の進行はなく自力での歩行もすこしはできるようになり、丸くなって防御姿勢を取れるようになったこと、元気で食欲もあったことなどQOLの維持に一定の治療効果はあったものと思います。
当院は、エキゾチック専門ではありませんが、統合医療をハリネズミにも応用した症例でした。
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