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鍼灸

中医学と獣医学

中医学とは、中国の2000年以上前から伝わる人の医学です。代表的なものは、日本の呼び方である「漢方薬(中国では方剤と呼びます)」、「鍼灸」、「指圧」、「刮痧かっさ」、「カッピング」などを応用して人体を治療する医学です。

日本でもよく言われる「食養生」も中医学的な理論から始まったものです。

獣医学領域では、古くは数千年前に、中国で馬などに鍼治療をした記録が残されており、動物にも同様の中医学的理論で治療していたことが知られています。

日本での動物への応用は、主に馬への鍼灸治療でした。しかし、近年は犬や猫への応用が世界中で盛んに研究されており、当院でも15年ほど前から鍼治療を行っています。近代医学を牽引してきたアメリカでも多くの中獣医学校が出来、多くの外国人が学んでいるのは注目に値します。

さて、中医学理論の根幹を成すのは、「陰陽学説」と「五行学説」です。これらを合わせて「陰陽五行説」と呼びます。

中医学理論の特徴は、体と宇宙(外界=自然界)は、陰と陽のバランスを取りながら、互いに影響し合い、常に流動的に移りゆく、という解釈をすることにあります。これを「天人合一」といいます。

インドのアーユルヴェーダ(サンスクリット語で「生命化学」という意味で、伝統医療)にも似たような概念があると聞きます。

鍼治療の理論

経絡は全身の気血が流れる経路であり、その経絡上の皮膚表面には経穴(いわゆるツボ)と呼ばれる重要なポイントがあり、体内の臓腑にも関係している。また体内の不調が経絡を通じて皮膚表面に現れるため、皮膚は体内の鏡とも言われ、経穴はその象徴とも言えるものである。

経絡は、胃経、脾経、腎経、膀胱経etcなどのように、対応する五臓六腑に応じた名前がある12本の経脈(体の上から下までつながる12本の線)と背中の真ん中を通る督脈、お腹の真ん中を通る任脈という経脈上に並んでいます。

ツボの数は、人体では365個がWHOに登録されて認められているそうです。

それぞれのツボに適応症があり、複数のツボを組み合わせて治療します。

鍼には、置鍼と電気を通す低周波鍼があります。症状が重度の場合は、低周波を使うことが多いです。
鍼治療は、内科疾患、神経疾患、整形外科疾患などの幅広い病気に応用できますが、禁忌は重度に疲弊した場合や、DICなど重篤な状態の場合には、禁忌とされています。
当院では、椎間板ヘルニアなどで、起立が出来ないような症例でも、鍼治療を行い、おおむね良好な結果を得ています。ただし、発症初期の注射や投薬などの内科治療は重要です。発症から長い時間が経過している場合などは、治癒にかなり期間を要する場合も多いので、根気が必要です。



鍼灸について 院長コメント

鍼灸は、中医学の一部であり、全身にある12経脈上にある経穴(ツボ)を鍼やお灸で刺激する治療法で、あらゆる病気に応用できるのですが、椎間板ヘルニアや変形性脊椎症、股関節炎などのような運動器疾患に対して効果が目にみえて現れるため、運動器疾患の症例は多く、遠くから通院される飼い主様もおられます。

鍼を刺して、しばらく置いておき、鍼を抜くという「置鍼」という治療法や、椎間板ヘルニアのような麻痺がある場合には、低周波の電気を通して刺激する、「低周波治療」を行っています。

お灸は、古くは“もぐさ”を使って温める、煙が出る治療でしたが、最近は煙が出ないタイプを使用しています。自宅で飼い主様が自分で出来るので、自宅でのケアに最適です。

ツボについては、ヨーロッパのアルプスで発見された約5000年以上前のミイラ「アイスマン」の皮膚に60箇所以上の入れ墨があり、それが、この鍼治療で使用するツボと一致したという驚きの発見があったことでも有名です。そんな昔からツボを使った治療法が世界中で経験的に研究されてきたのでしょうね。