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新しい治療法② 有機ゲルマニウム

有機ゲルマニウム

私がこの有機ゲルマニウムを知ったのは、2021年10月の比較統合医療学会での発表でした。そこには、有機ゲルマニウムの生理作用や作用機序と癌、骨代謝、関節リウマチに対する効果が発表されていました。有機ゲルマニウムの開発者の浅井一彦博士の名前から「アサイゲルマニウム」と呼ばれるこの製品の作用機序は、金属の(無機)ゲルマニウムに炭素を結合させた「有機ゲルマニウム」で炭素・水素・酸素が結合したことによって水溶性となり、生体内に摂取しても残留せず排泄されます。摂取してから体内に存在し、排泄されるまでの間に様々な効果を発揮するのですが、発表によると、インターフェロンの分泌を促進することなどから、免疫調整作用など、さまざまな効果を示すようです。

抗炎症作用・疼痛抑制作用

抗炎症剤としては、ステロイド剤が有名ですが、効果が大きい分副作用も心配です。有機ゲルマニウムは、インドメタシンやフェニルブタゾンと同等の抗炎症作用を示します。しかも、長期投与の副作用もありません。
オピオイド受容体あるいは、オピオイドの代謝に関与して鎮痛効果を示すとされています。オピオイドとは、モルヒネなどの麻薬性鎮痛剤が作用する点で、麻薬は習慣性という副作用がありますが、有機ゲルマニウムにはその心配はありません。

発癌抑制・癌転移抑制

マクロファージやNK(ナチュラルキラー)細胞の活性化を誘導するインターフェロンガンマ(IFN-γ)産生能を向上することから、発癌抑制、癌の転移抑制に効果が認められ、この効果により、生存期間の延長効果が認められたそうです。この点について、岡山大学名誉教授の木村郁郎博士は次のように述べています。

「有機ゲルマニウムは、抗がん剤や外科治療法、放射線療法のように直接的に癌細胞を攻撃するのではなく、身体の免疫細胞などに依拠する免疫機能を賦活させることによって、間接的に癌の不活性化、弱小化、転移の抑制を招き、寛解もしくは治癒に寄与すると考えられる」

つまり、癌を直接治療出来るわけではないので、発癌してしまう前に投与すれば発癌予防になり、発癌してしまったら免疫賦活作用によりそれ以上大きくなるのを防ぎ、転移も抑制するというわけです。

(上の2つの図は、「有機ゲルマニウムの科学(東洋医学舎)」より)

骨代謝に対する効果

癌に対する作用の他に、骨代謝に対する効果もみられます。副甲状腺の働きを抑えることにより、後述するように、骨芽細胞を活性化し、破骨細胞の活動を抑制するため、骨粗鬆症の治療や予防に効果を示しています。

抗酸化作用

生体内には、酸素を利用する代謝の過程で、「活性酸素=スーパーオキサイド」を発生し、この活性酸素が細胞の脂質を傷害したり、細胞のDNAを傷害したりすることで、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、発癌などを発症させることが知られています。生体はこの活性酸素を分解する仕組みが備わっており、SOD(スーパーオキサイドジムスターゼ)をはじめとする酵素や、ビタミンCやビタミンEなどの働きで活性酸素を消去する機能(抗酸化作用)があります。ストレスや体調不良の場合に、この抗酸化作用がうまく働かずに病気になってしまうのです。抗酸化作用を強化するのはビタミンCやビタミンE、ポリフェノール、その他にもさまざまな食べ物や漢方薬が知られています。オゾン療法も抗酸化作用を強化することで治療効果を示します。

有機ゲルマニウムもこの生体の抗酸化作用を強化する効果が知られています。

リウマチに対する効果

リウマチは自己免疫性疾患の一種で、免疫システムが何らかの理由で混乱し、自身の身体を攻撃するために起こると考えられています。関節の滑膜が炎症を起こし軟骨や骨を侵食していき、関節が変形していきます。20歳代の若い人にもこのリウマチが見られるといいます。2000年に東京大学の谷口維紹教授らが、インターフェロンガンマが骨を溶かす破骨細胞を抑える働きをすることを突き止めました。有機ゲルマニウムは、このインターフェロンガンマを誘起しますので、リウマチの原因の破骨細胞の活性を抑えて、リウマチ症状の改善効果を発揮してくれるといいます。

老化・高血圧に対する効果

老人性アルツハイマーや認知症の原因は、加齢や慢性疾患、悪性腫瘍などで生じるとされる「アミロイド」というタンパク質が、脳細胞に沈着して機能障害を起こすと考えられています。アミロイド沈着が起こりやすいマウスに有機ゲルマニウムを22ヵ月間投与したところ、アミロイド沈着が抑えられたそうです。アルツハイマーの薬はまだ開発されていませんが、有機ゲルマニウムの効果が大きな可能性を秘めています。白内障は、水晶体が加齢によって濁ってくるものですが、老化促進モデルマウスに有機ゲルマニウムを点眼したところ、白内障の進行が遅延したそうです。自然発生高血圧も、多くは加齢によるものと考えられますが、ラットによる試験では、投与後30日目に90%以上のラットの血圧が正常になったそうです。

ここまで述べてきたように、広範囲に効果がありますが、漢方薬に似た印象を受けると思います。西洋医学では、「この症状にはあの治療法・治療薬」というように、ピンポイントで薬や治療法を選択します。そうして医学は発展してきたのですが、漢方などの東洋医学は、体質や病気の性質をさまざまな方法で捉えて(弁証)、治療法を決めていく(論治)ので、広く効果を示します。いわば、生体の免疫システムに作用するのです。この点が有機ゲルマニウムと共通した点です。そのため、作用が間接的で穏やかで副作用も少ないといえます。有機ゲルマニウムが多くの植物に含まれていることを考えると、植物を主な減量とする漢方薬と似た作用を示すのも当然かもしれません。